【三重・伊勢】マコンデ美術館と仲間と
jan.2017
もう長らく三重県に通っている、しかも頻繁に。仕事での必然性とは別に、友人に会う為という側面もある。
幼い頃からよく鈴鹿サーキットに通い、様々な二輪レースを見てきた。青年期にはついにレーサーを夢見て活動をするも、その当時、多くの若者がそうであったように、自分も志半ばで断念した。
まだ二十歳に満たない頃の、それはそれは大昔の話である
そして、ここ20年ほどでレース活動を再開し、amcoとチームの仲間に支えられながら、サーキットを走る喜びを満喫している。
数あるサーキットのなかでも、やはり活動のメインは鈴鹿。自宅から340キロも離れたサーキットだ。関東にも、筑波サーキットやツインリンクもてぎがあるのに?と良く聞かれるが、自分にとって原風景が鈴鹿なので……としか言えない。(納得してもらえているかどうかは不明であるが)
さてこの年明けも、その三重のバイク仲間と毎年恒例の”極寒”ツーリングを行う予定だったが天候が大荒のため、あえなく断念。急遽3台のクルマに乗り合って、津から一路紀北町へ向かった。めざすは、数年前にも訪れた旅館さざなみ。牡蠣をたらふく喰らうのが目的である。
そして目的はもうひとつある。途中『マコンデ美術館』を訪れ、その素晴らしい黒檀芸術を見ることだった。
東アフリカのタンザニアにあるマコンデ高原で暮らすマコンデ族は、この地域では豊富に採れる黒檀で彫刻しているが、そもそも黒檀は恐ろしく硬くて彫刻する作業はかなり過酷だ。それでも彼らは自然界からインスピレーションを受けて彫り続けている。生活を営む毎日のなかで、祖先を尊み精霊や神話を信じ、そして自分の表現を伝承するために辛い創作活動を続けているのだろう。購入することができる作品もあったので、是非にと購入。来訪必須の美術館だった。
その後、伊勢市旭町の「柿右衛門」で“てこね”と肉うどんを食し、夜は民宿で牡蠣三昧、後はお待ちかねの宴会である。翌昼は、これも毎年恒例の大台町「一富士」。今年はカレーちゃんぽんをたいらげた。
どちらかというと、旅というよりもバイクで繋がる仲間たちとのいつもの休日の延長のような長いひととき。しかし、彼らとの出会いと共有してきた人生やサーキットを中心とした時間そのものが長い旅だと感じる。
だから、黒いアスファルトを延々に走り続けるためにみんなサーキットへ通い続けているのかもしれない。
[写真・文:前田義生]