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【奄美・種子島】碧と鮮緑の島

jul.2016

ずっと足を踏み入れられないでいた奄美大島と種子島へ向かうことになった。

マエダは二十数年前に種子島へは訪れたことがあるというが、意外にも奄美は初めてだという。冒頭のようにセガミはいずれの島も訪れたことはない。

今回は奄美の泥染、種子島の安納芋畑のつくり手など、ふたつの島の魅力を2泊3日で取材して欲しいという依頼。タイトスケジュールで、しかもタイムテーブルも現地に行ってみないと分からないという、なんともアバウトな仕事ではあったが、まぁ何とかなるさ、という楽観的な気持ちで二人はプロペラ機に乗り込んだ。

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DC−8の窓から眼下を覗くと、映画のワンシーンのように碧い海が見える。強い日差しで海底の反射率も増しているようだが、理屈はさておき、とにかく美しい景色だ。鹿児島県に属する奄美大島だが、実際には少し南下すれば沖縄なのだからほとんど南国である。そうそう、南国の海を指して「エメラルドグリーン」などとよく耳にはするが、実はミントグリーンなのではないかと密かに思っている。まぁ、だからどうという話でもないが。

どうという話でもないついでにもうひとつ。わたしたちは自称、晴れ男&晴れ女。前日まで大荒れで当日も雨予報だったにもかかわらず、まぁ見事な夏空が広がった。もちろんタラップを降りたときにハイタッチ(の気分を共有)したのは言うまでもない。

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泥染一筋、熟練職人のお父さんに仕事の話を聞くも、ついでに「ありがさまりょーた」などとまるでラテン語のような地元の言葉を教わったり、今宵のために穴場な居酒屋を聞いてみたりと、脱線するのが実はとても楽しい。

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翌朝は種子島へ向かう。空路の関係上いったん鹿児島空港を経由する必要があるのだが、鹿児島空港に着いた途端にどしゃぶり。すわっ、本日は雨天取材か?と慌てるも、1時間程の待ち時間を経て種子島空港へと着くころには、また眼下に碧い海が広がっていたのだから、本当に晴れ男、晴れ女に生まれたことを心から感謝したい気持ちになった。

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夕食時「20年前よりも、この島は寂れた感じがする」とマエダは言った。空港は近代的になったが、逆に大きなリゾートホテルも廃業し、観光客も減っているのは事実らしい。

しかし、島の居酒屋で一緒に呑んだ農家のお父さんや、若い農業関連の男性はポジティブで明るい人々だった。「自然のモノが溢れているこの島を出る理由が見つからない」そう語った。確かにさまざまな農作物と魚介類がこの島には溢れているが故に、それ以外に目がいかないのも事実。第一次産業以外の道があればこの島の若者も夢が持てるかもしれないが、それがロケット産業なのかといわれると違う気がする。

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「今度はロケットの飛ぶときにおいで、うんうん。夜の打ち上げは綺麗だぞ、うんうん」

鹿児島弁のやさしい響きを肴に微睡んでいると、いつのまにやらマエダと地元の酒豪たちはすでに2升もの薩摩焼酎を空けていた。

そして誘われるまま地元のスナックへはしご酒。

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「酒を呑みながら地元の裏話を聞くのは最高の酒のつまみだ」とマエダは叫ぶも、わたしは眠い。そろそろ宿に帰りましょうと嘆願し、明日も早いのにマイクを握ろうとする酒呑みたちを正気へ戻したのだった。

次はお祭りのときに行きたいなぁ。

[文:瀬上昌子/写真:前田義生]

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