dairy:昔ながらのしめ縄づくり
2015年12月22日更新
師走もカウントダウン体制に入った日曜日、息抜き&年越しの準備を兼ねて訪れたのは江戸時代の古民家など文化財建造物を移築保存している「日本民家園」。新宿から20分ほどの都心近郊とは思えない、まるでタイムトリップしたかのような景色に出会える場所です。民家園のある生田緑地も山ひとつ丸ごと公園という野性味あふれる環境で、幾度となく訪れているお気に入りのエリアなのです。
なぜここを訪れたかというと、しめ縄づくりの藁細工体験講座に参加するため。民家園では昔ながらの日本の暮らしの手業を伝承するための幾つかの保存会があって、会員の皆さんの手で古き良き手仕事や風習を今に伝える活動をされています。お正月のしめ縄づくりもその一つ。参加応募ハガキを送ったところ(しめ縄づくりは人気の講座なのだそうです)、狭き門をくぐり抜けて見事当選!というわけで、初めてのしめ縄づくりにチャレンジしてきました。
藁葺き屋根の古民家の庭先にむしろを敷いての作業。家の中では囲炉裏に火が起こしてあり、あたりには冬の匂いが漂ってタイムトリップムードは完璧です。
講座はまず、材料の藁を湿らせて叩いてやわらかくするところからはじまりました。この青い藁は、お米を穫るためでなく藁細工用に長く育てたものなのだそうです。美しいですね。
そしていよいよ師匠の手ほどきのもと、縄ないを。藁をねじりあげていくシンプルなつくりなのですが、これが難しい!師匠は慣れたものであっという間に縄状にしあげる見事な手さばき。見よう見まねでなんとか本体となる部分が完成。いくつかのパーツをつくって(久しぶりに三つ編みをしました)組み合わせ、本体が完成!
お次はいよいよ飾り付けです。お飾りのパーツも全て自然に還る地球にやさしい素材。昆布やゆずりは、和紙の扇、紙粘土製の海老などなどおめでたいお飾りを新聞でつくった舟に分けてくれているのも、センスのよい心遣いを感じて、テンションが上がります。
蜜柑を土台にあれこれを盛り付けて本体に次々と取り付け、完全したのがこちら。どーん!
人生で一番ゴージャスな正月飾りです(結構な作業を師匠に手助けしてもらっていますが、笑)!まさかこんなに立派なものが仕上がるなんて。仕上がりも内容も作業環境も大満足の1日でした。
稲を育て、収穫後の藁を、わらじやむしろなどに有効活用するという昔の知恵にも改めて感動。昔の暮らしには、なんて無駄がないんでしょう。そして、年神様をお迎えする正月飾りになって、また来年の豊作と家内安全を祈る、心豊かな暮らしの循環ですね。
ちなみにこちらは全国各地の正月飾り。お飾りひとつとっても地域性がでていて個性的です。でも師匠云く、「そんなにキッチリやらなくていいんだよ、気持ちがこもってれば」という、肩の力が抜ける言葉に励まされ、2016年の福を祈る1日となりました。
それにしても、この藁葺き屋根、立派です。ここだけ切り取ると完全に「日本昔話」ですね。そんなこんなで、お天気にも恵まれて、昔ながらの年末行事を体感し、シミジミ日本の風習って素敵だなぁと感じ入る冬の休日でした。いよいよ2015年もあと少し。皆さま、よいお年をお迎えくださいませ。